被相続人死亡後10年経過すると遺産分割に制限が加わります!

 2022年1月22日に本事務所のブログで所有者不明の土地の問題を解消するために法改正がされ,相続登記が義務化されることを掲載しました(相続登記の申請が義務化されます! | 光伸法律事務所 (koshin-law.jp))。この一連の法改正の一環として,被相続人死亡後10年経過すると遺産分割について制限が加えられることになりました(新民法904条の3,法務省HP:https://www.moj.go.jp/content/001362336.pdf)。これまでは遺産分割は,期間の制限がなく,長期間放置されてしまうことがあったことから,特別受益や寄与分について10年という期限を設け,早期に遺産分割協議を行うよう促すことを目的としています。

 これまで期間の制限がなかったもので制限が加わるのは,民法903条の特別受益者の相続分、民法904条の特別受益に関する贈与の価額の算定,民法904条の2の寄与分の3つの規定になります。

 したがって,この改正の帰結として,被相続人死亡後10年が経過した場合,㋐相続人全員で合意ができれば遺産分割は10年経過しても行うこと自体には制限はかかりませんがが,㋑相続人全員で合意や調停が成立しない場合には,家庭裁判所に法定相続分以上の相続分を認める決定を求める申し立てをしたとしてもそのような申し立ては認められず,法定相続分の限度での決定がされることになるということです。

 そして,令和3年12月,この法律の施行日について,「令和5年4月1日」とされました。(法務所HP:https://www.moj.go.jp/content/001360807.pdf)。

 このように,ある方の相続について法定相続分以上の相続分を求める意向がある方についてはこの改正の適用があるかどうかに注意をしなければなりません。この規定の適用があるかどうかについては,経過規定等があり,施行前後で改正法が適用されない場合もあります。いずれにしても,そのような以降のある方は,早期に法律相談を受けることをお勧めします。