ソーシャルワークと弁護士

 当事務所では,障害者など生きづらさを抱えた方々の弁護活動を行う際には,必要に応じて社会福祉士,精神保健福祉士といったいわゆるソーシャルワーカーと協働して活動にあたることがあります。

 ソーシャルワークという言葉は,近時,少しずつ耳にするようになりましたがまだまだメジャーではないかと思います。これを日本語に訳すのは容易ではありません。個人がよりよく生活できるため,また,社会がより改善するために法律学,医学,心理学,福祉学,何でも詳しく,個人に対しても,社会に対しても活発に活動するというようなスーパーマンのような活動を行うといったイメージでしょうか。

 実際,アメリカでは,大学院の修士課程まで卒業し,上記の様々な知識を習熟していないと得られない資格のようです。日本では,資格制度が異なり冒頭で述べた,社会福祉士や精神保健福祉士という資格がいわゆるソーシャルワーカーの資格となりますが,資格の門戸はアメリカよりは広く開かれているようで,仕事の中身や就職先は人によって本当に様々なようです。

 ソーシャルワーカーの方々には,法律に詳しい方々もいらっしゃいますが,裁判で依頼者を代理したり,刑事弁護人になることはできません。裁判をする必要がある方や,刑事事件に問題が発展した場合には,弁護士等の司法関係者の活動が必要になるわけです。

 当事務所では,障害者等の福祉的支援を必要とされる方について,福祉と司法の支援両方を必要とされる方についてソーシャルワーカーと連携した弁護活動を行っていたのですが,実は,アメリカでかなり先行して,ソーシャルワークと司法の連携は取り組まれていました。

 そのことを知り当事務所は,アメリカの現状もぜひ知りたいと考えていたところ,2019年11月コロナ禍の直前の時期に当事務所の屋宮弁護士が事務所を代表して,ニューヨークのブロンクスディフェンダーズという法律事務所との交流を実現することができました。ここでは,長年,ソーシャルワーカーが事務所に所属し,ソーシャルワーカーと弁護士が連携して活動をしていました。言語や文化を超え,生きづらさを抱えた方々に必要な支援を提供し,依頼者に笑顔になってもらえる感動を共有できました。

 今後も,法律という一側面の解決ではなく,依頼者が生きづらさから解放されるようなサービスを提供できる体制を構築してまいりたいと思います。