【解決事例】残業代の支払のほか、付加金の支払を命じる高裁判決が確定しました!

 残業代の未払があれば、労働者は雇用主に対し請求できます。その際、裁判所は、労働者から請求があれば、未払金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命ずることができるとされています(労働基準法114条)。

 もっとも、裁判所が付加金の支払いまで命じるケースはそれほど多くないとも言われています。それでも、当事務所では、雇用主の残業代の未払いの実態が悪質だったことから、この付加金の支払いを求め、地裁・高裁でいずれも付加金の支払いを命じる判決を勝ち取り、最近、確定しました。

 裁判所は、果たして、一体、どのような場合に付加金の支払をも命じるのでしょうか。

 一般的には,①使用者による同法違反の程度・態様や、②労働者の不利益の性質・内容等の諸般の事情を考慮して付加金の支払を命じるかどうか判断すると言われています。

 当事務所が取り扱った事件では、地裁は、被告が、①法定労働時間を超える時間外労働時間数及びこれに対する賃金を具体的に定めていなかったこと、②日々の労働時間について管理を行っていなかったこと、を理由に「被告には付加金の支払を命じることが相当というべきである。」と判断し、付加金を全額認めてくれました。

 当事務所で扱ったのは飲食業界の話でした。相手の代表者は、証人尋問の際に、法廷で「飲食店では残業代をもらえなくて当たり前」などと、法律違反の見解を裁判官の面前で堂々と述べていました。これらのことが影響して付加金の支払いまで命じたものと思われます。

 付加金は、未払残業代と同額の支払いを命じてくれるものですので、これが裁判所で認められれば、未払残業代の2倍の金額を、雇用主から受け取れるものですので、これが認められる実際上の意義は大きいと言えます。

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