医療事故でカルテ改ざんをどう防ぐか?

「白い巨塔という映画・ドラマがありますが,医師が医療過誤の責任を問われそうになりカルテを改ざんしてしようとするシーンがあります。
 実際,問診直後に一旦,カルテが作成されているにもかかわらず,かなり期間が経過した後に書き込みがされた形跡のあるカルテが見受けられることがあります。
 現在では,電子カルテを採用する病院も多く,そこでは書き換えの記録が逐一記録されていますが,記録が反映されない書き換えの仕方があるかどうかまでは分かりません。
 そこで,本格的に医師の医療過誤の責任を問うにあたっては,「証拠保全」という手続きをとります。これは,裁判所に申立をして,証拠保全決定が出されると,ある日が指定され,その日の午前中に病院に裁判所から決定書を持っていてもらい決定通知をし,その日の午後に病院のカルテを残らずコピーまたは写真撮影するという手続きです。少なくともその時点のカルテの内容は,保存しておくことが出来,その後に書き換えがされた場合,それが一目瞭然に分かることとなります。
 当事務所でも医療事件で,この証拠保全手続きを行うケースが多いです。証拠保全の際に病院側が提示してきた資料以外にも資料があるのではないかを疑い,細かく確認しながら,もれのない証拠保全を行うよう心がけております。

屋宮昇太