離婚で養育費不払い 逃げ得を許さない!

 離婚の件数は年々増加していると言われています。離婚にあたって,未成年の子どもがいる場合には,養育費を定めるのが普通です。
 養育費というのは,子どもを監護していない親が,子どもに自分と同程度の生活をさせるために,監護している親に支払われるものです。
 養育費の額は,双方の所得をもとに,子どもの人数ごとに定められた算定表を参考にして決めることが多いと思います。たとえば,15歳までの子どもが2人いる場合に,夫の給与所得が500万円,妻の給与所得が100万円であれば,月額6万円から8万円の範囲といった具合です。
 さて,ここからが問題です。せっかく,協議離婚で養育費を決める合意書をかわしたり,調停や裁判の結果,調停調書や判決で支払いが命じられたりしても,相手がきちんと支払ってくれるかどうかはわかりません。支払ってくれなくなったらどうすればいいのか,ということです。
 そもそも取り決めをしないで離婚した場合もあると思いますが,調停や判決で命じられているのに支払われなくなったという事例も多いのです。

そこで,まずは,少なくとも,協議離婚の場合でも,単に合意書を交わすだけではなくて,公正証書で約束してもらいましょう。そうすれば,調停や裁判と同じように,支払わなくなったら強制執行することが可能になります。
 しかし,強制執行は,相手の財産や銀行口座または勤務先の給与債権を差し押さえて強制的に支払わせるものですが,それらを特定しないと手続きができません。不動産なら所在地,銀行なら支店名まで特定する必要があります。勤務先が変わったり,銀行口座を変えたりされると,なかなかそれを調べるのは困難になります。
 しかし,けっして泣き寝入りせず,当事務所にご相談ください。令和2年4月1日より,改正民事執行法が施行され,市町村や日本年金機構等から,勤務先の情報等を取得することができるようになりました。また,預貯金の情報取得に関しては,銀行等から,債務者が有する口座の情報(取り扱う店舗,種別,口座番号,調査時点での残高)の開示を受けることができるので,残高がある口座が判明すれば,預貯金に強制執行をかけることが可能になりました。その他,手段を尽くして,逃げ得を許さず強制執行ができるよう最大限努力します。

弁護士 松村光晃