「水俣病」をめぐる問題
昨年,「水俣病」がテーマ(主題)になっている映画が,複数,公開上映されました。
「水俣病」の問題は,1956年(昭和31年)に公式確認されてから65年以上たった今も,未だに裁判で問題になっています。
昨年11月に新聞報道されましたが,水俣病被害者互助会のメンバーが原告となり熊本・鹿児島両県を被告として水俣病の患者認定を求めた訴訟が,昨年11月26日に熊本地裁で結審しました。今年3月30日に判決が言い渡される予定です。
報道記事によると,裁判の原告は,水俣病が公式確認された1956(昭和31)年前後に熊本県の水俣等の地域で生まれ,工場廃水の汚染が深刻化して重症患者が相次ぎ確認された時期に胎児・小児だったそうです。原告らは,住民の多くがメチル水銀の被害を受けた漁村集落の漁師の家で育ち,両親と祖父母は認定患者で,原告ら自身も子供の頃から頭痛・めまい等の症状に苦しんでいたといいます。
原告らは患者認定を申請しても認められなかったため,2015年(平成27年)10月に裁判を提起し,現在に至るまで裁判闘争を続けておられます。原告らは,胎児・小児期にメチル水銀の被害を受け水俣病の典型症状である感覚障害がある等と主張していますが,被告側は他の疾患の可能性があり水俣病ではないと反論しています。
報道記事には,「いまだに救済を求めて手を挙げられない多くの人がいる」「真実を見てください」「いまだに水俣病は終わっていません」という水俣病患者の悲痛な声が紹介されており胸に迫りました。
「水俣病」をめぐる問題は,裁判闘争の歴史等も含め,被害者が泣き寝入りをしない社会を築く上で,極めて貴重な教訓に満ちていると思います。