相続財産の評価
相続が発生したときに不動産、株式、宝石等の貴重品等の財産については、どのように評価額を決めるのでしょうか。
まず、財産の評価時をいつにするかですが、遺産分割の場面では原則として遺産分割時の評価を基準とするとされています。これに対して、遺留分減殺請求の場面などは相続開始時の評価を基準となりますので事案ごとに確認する必要があります。
次に、具体的に各財産についてどのような評価方法をとるかですが、まずは当事者が資料を提出し、話し合いで評価を決めることを探ります。
不動産であれば、公示価格、固定資産評価証明書に記載された固定資産評価額(公示価格の7割を目途に設定されます)、路線価(相続税評価額)、都道府県地価調査標準価格、不動産業者の簡易な査定書などを双方が出し合い、これらをベースに話し合いを行うことになります。話し合いが決裂した場合には、裁判所が選任する不動産鑑定士による評価をしてもらい、調停や審判の手続きを進めることになりますが、相応の鑑定費用がかかってしまいます。
株式については上場企業であれば、取引価格が明確なので争いは少ないですが、上場企業でない場合は評価が難しく、株式買取請求における価格の算定や税務署の評価方法を参考としながら算出することになります。しかし、税理士等の専門家でないと評価が難しく、専門家の鑑定が必要な場合が多いようです。
他の財産も結局、当事者が参考資料を提出し、話し合いが決裂すると裁判所主導で専門家の鑑定に委ねることになることは同じです。
相続財産の評価をどのように行うかによって、具体的に取得できる金額が異なる場合がありますので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。