離婚と財産分与(1)

問)離婚する際に請求できる「財産分与」とは何ですか。「慰謝料」とは違うのですか。

答)「財産分与」は,夫婦が婚姻してから離婚するまでの間に,夫婦が共同で形成してきた財産について,その清算を求めるものです。

  たとえば,夫婦が婚姻中に購入した住宅(不動産)や婚姻中に形成してきた預貯金などが,その対象になります。

  専業主婦であったとしても,妻の「内助の功」を評価して,仮に夫の名義の不動産や預貯金であったとしても財産分けを求めることができます。妻の協力(家事や育児など)があってこそ夫も働いて夫名義の財産を形成してきたと「夫婦の協力」を評価するのです。

  財産分与を決める方法は,①まずは夫婦の話し合いによって決めますが,もし夫婦の話し合いで決められない場合には,②家庭裁判所に申立てをして決めます(家事調停や家事審判などの手続があります)。

(参考)https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_04/index.html

  注意しなければならないのは,この財産分与には,法律上,期間の制限があり,離婚から2年以内に必ず行う必要があるということです。

  この財産分与には,夫婦が婚姻してから離婚するまでの間に共同で築いてきた財産の清算分配をするという趣旨(清算的要素)のほか,離婚した後の相手の生活をたすけるという趣旨(扶養的要素)や,離婚についての精神的な苦痛を償わせる趣旨(慰謝料的要素)も含めて,相手に求めることもできます。

  たとえば,離婚をして「財産分与」の取り決めも終わった後に,離婚に関する「慰謝料」を請求したいという場合がありますが,その場合は,財産分与に慰謝料的要素が含まれていたかどうか,仮に含まれていたとしても,その財産分与の額や方法が慰謝料的な要素をみたすのに足りないものであったかどうかが問題になります。

  この財産分与については,様々な問題がありますので,今後,何回かに分けて御紹介していきたいと思います。