チケット不正転売禁止法について(第2弾)

前回は、チケット不正転売禁止法の概要についてご紹介しました。

今回は、具体的な相談例を通して、チケット不正転売禁止法について説明したいと思います。

(X相談者)Y先生、実は、チケット販売の件で相談に乗って頂きたいのですが、よろしいでしょうか。

(Y弁護士)はい。

(X相談者)私は、コンサートが大好きで、あるミュージシャンのコンサートのチケットを大量に入手する方法を発見しました。そこで、そのチケットを個人的にSNSで友人や知人に定価で譲るのは、法律に違反するでしょうか。

(Y弁護士)チケット転売を規制する法律として、チケット不正転売禁止法があります。定価で譲るとのことですが、そのほかに手数料などを取る予定はありませんか。

(X相談者)その法律のこと、ニュースで聞いたことがあります。逮捕されていますよね。だから、定価を超えて転売することは違法だと思ったので、チケット代は定価のままにして、別途手数料をもらおうと思っています。

(Y弁護士)それは問題がありますね。たしかに、チケット不正転売禁止法では、「販売価格を超える」チケットの転売を規制しています。条文の文言だけをみると、Xさんの考えるように、チケット代は定価のままにして、別途手数料をもらう仕組みにすれば、「販売価格を超える」チケットの転売にはあたらないようにもみえます。しかし、「販売価格を超える」かどうかは、チケットの転売代金のみから形式的に判断するのではなく、別途手数料が発生する場合には、その手数料代も含めて実質的に判断します。

(X相談者)え!そうなんですか!そうすると、私がやろうとしていることは違法になるのですか?個人的に少人数の友人や知人に転売するだけでも違法になりますか。

(Y弁護士)違法になる可能性が高いです。反復継続して転売する意図が認定されると違法になります。チケット不正転売禁止法のもとでは、チケットの転売で儲けようとすることは難しいと思いますよ。

(X相談者)なるほど…、そうなんですね…。わかりました。きちんと相談して良かったです。やはり、チケットは自分で行く分のみ購入することにします。ありがとうございました!