損害賠償請求では損害額の細かい積み重ねが大事です。

 交通事故による高次脳機能障害の事案を受任した中で痛感したのは,高次脳機能障害の損害については,きめの細かい立証がとても重要だということです。
 寝たきりになるなどして,後遺症1級ともなれば,将来の介護費用の請求が大きな問題となります。
 また,自宅で介護するとなれば,引っ越しも考えなければならず,自宅購入の費用なども問題となります。 
 そのほか,本人の普段の生活状況や介護する方の状況から,必要な費用を細かく聴取し,今後,場合によっては数十年にわたる期間,どのような生活になっていくのかを考慮して,必要となる介護用品を選定し一覧表にいたします。この一覧表には,品名,金額(あるいは単価),耐用年数(あるいは年間の金額),これらについての計算式,裏付けとなる証拠の番号等々を記載します。これは,大変に細かい作業で大変な作業量を伴うため,これまでの損害賠償請求では見過ごされることもあったのでしょうか,このような請求が増えつつあります。
 ある事件では,耐用年数のある介護用器具だけでも40品目以上(例えば,介護用の車両,屋外用と室内用の車椅子,特殊テーブル,介護用ベッド,吸引器等々),介護用消耗品も30品目以上(例えば,オムツ,ガーゼ,プラスティックシリンジ,消毒剤,洗浄剤,吸引チューブ等々)になりました。
 この事件でも,このような作業をして,合計額を割り出すと,介護用品だけでも数千万円の損害額になりました。事実に基づき積み上げると,保険会社も何も言えないものです。
 このような損害額の積み重ねのためには,介護の現場をよく知っておくことが大切です。
 当事務所では,このような事件を複数経験しておりますし,細かい作業の労を厭わず依頼者のもっとも利益になるように最善の努力をしております。
  築地 伸之