民事訴訟手続きのオンライン化について(第2弾)

 民事裁判のIT化を促進する、改正民事訴訟法が令和4年5月25日に公布されました。

 改正のポイントとしては、

 ➀口頭弁論期日のウェブ参加が可能となる、②オンラインでの訴え提起が可能となる、③訴訟記録が電子化される、の3点があげられます。

 前回➀についてご紹介したので、本記事では、②と③について紹介したいと思います。

  • オンラインでの訴え提起

 訴訟を提起する際には、裁判所に対して訴状を提出する必要があります。

 これまでは、紙媒体での提出しか認められていませんでした(旧133条1項)。

 そのため、訴訟提起の際には、印刷や郵送(もしくは裁判所への持参)が必要でした。また、記録の管理のための手間とスペースが、裁判所や法律事務所内での負担となっていました。

 しかし、今回の改正によりオンラインでの訴状提出が認められることとなりました(新132条の10関係)。

 このオンライン提出については、弁護士が代理人として就く場合には、義務となるようです(新132条の11)。

 裁判所からの送達も、オンラインで行うことが認められました(新132条の10第5項、新109条の2)。

  • 訴訟記録の管理が電子化される

 現状、裁判所内の訴訟記録は全て紙媒体で保管され、1冊~数冊のファイルに綴られています。

 そのため、訴訟記録の閲覧・複写(旧132条の7)についても、裁判官の手元にある記録を借りて、裁判所内でしか行うことができませんでした。

 しかし、今回の改正で、訴訟記録については、原則として裁判所書記官が電子データにして保管することとなり(新132条の12第1項)、

 期日調書や判決書も、電子化されることとなりました(新160条1項、新252条)。

 これに伴って、訴訟記録の閲覧も、インターネットを通じて裁判所のサーバーにアクセスする方法で行うことができるようになり、裁判所以外の場所でも閲覧することができることとなりました(新91条の2等)。

 このように、記録が、一元的に電子で管理されることで、裁判所における記録の管理の手間とコストが削減されるとともに、国民の司法へのアクセスが容易になると考えられます。

  • 施行日について

 上記改正は、公布の日から4年以内(令和8年5月25日まで)に施行とされており、本格的に開始されるまで、少し時間がかかります。

 また、オンライン化するにあたって、機材の限界やセキュリティ上の問題が発生することも予想されます。

 しかし、司法試験も令和8年からPC受験に切り替わるなど、今後、法曹界のIT化の流れが加速する可能性は大きいです。

 当事務所でも、IT化に対応してまいります!