民事訴訟手続きのオンライン化について
民事裁判のIT化を促進する、改正民事訴訟法が令和4年5月18日に国会で可決・成立し、同年5月25日に公布されました。
民事裁判のIT化のポイントとしては、
➀口頭弁論期日のウェブ参加が可能となる、②オンラインでの訴え提起が可能となる、③訴訟記録が電子化される、の3点があげられます。
本記事では、➀口頭弁論期日に関する改正について紹介したいと思います。
口頭弁論は、当事者が主張・立証を行う民事訴訟の本体とも呼ぶべき手続きですが、これまで、オンライン参加が一切認められていませんでした(旧民事訴訟法87条1項)。
そのため、当事者は、主張・立証のため、必ず1回は裁判所に出頭しなければなりませんでした。遠方の場合は特に負担が大きく、訴訟の利便性・迅速性を損なう要因となっていました。
そこで、本改正により、ウェブ会議による口頭弁論期日の実施が認められることになりました(新87条の2第1項)。
第八十七条の二
裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、口頭弁論の期日における手続を行うことができる。
以上のように、➊裁判所が相当と認めるときに、➋当事者の意見を聴いた上で、という、比較的緩やかな要件で認められるため、ウェブ会議による口頭弁論期日は、今後広く活用されることが予想されます。
施行は、公布(令和4年5月25日)から2年以内となっているので、令和6年5月25日には、実施されている予定です(具体的な施行日は今後決定)。
近いうちに、民事裁判についてもIT化が進み、依頼者の皆様にとって、利便性が増していくことが期待されます!
次回は、訴え提起のオンライン化について説明したいと思います。
なお、民事訴訟法の詳細については、法務省のHP(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00316.html)をご覧ください。