上陸拒否事由―前科のある外国人は日本に上陸できる?

外国人は,自由に日本に上陸できるわけではありません。出入国管理法(「入管法」といいます。)に定められた上陸の許可要件を全て満たさないと,日本上陸を許可してもらえません。

上陸の許可要件は複数ありますが,その中でも重要なのが「上陸拒否事由のないこと」です。

今回は,上陸拒否事由のうち,前科に関するものを紹介したいと思います。

まず,入管法5条1項4号は,「日本国又は日本国以外の法令に違反して,一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。(ただし,政治犯罪により刑に処せられた者は,この限りでない。)」は「本邦に上陸することができない」としています。

この規定で注意すべきは,執行猶予期間中の者だけでなく,執行猶予期間が経過して,刑の効力が消滅した者(刑法27条)も該当してしまうということです。執行猶予だからと安易に日本を出てしまうと,再度日本に上陸することが難しくなってしまいますので,慎重に検討するようにしましょう。

さらに,入管法5条1項5号は,「麻薬,大麻,あへん,覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者」は,「本邦に上陸することができない」としています。

違法薬物流入防止の観点から,薬物犯罪に関しては,刑の軽重に関わりなく上陸拒否事由とされています。罰金刑であったとしても,上陸できませんので,気を付けてください。

このように,前科は,日本上陸の際の重要なポイントとなります。

当事務所では,入管法に関する事案を取り扱っております。お気軽にご相談ください。