越境してきた隣地の竹木が共有状態にあった場合、どう対処すればよい?

 改正前民法では、隣地の竹木や枝が越境してきた場合、根については「切り取ることができる」(旧民法233条2項)一方、枝については越境された側では切除できないこととされていました(同条1項)。

(前回の記事では、上記規定が改正され、一定の要件を充足すれば越境された側で枝を切除できるようになったことを紹介しました)

 今回は、越境してきた竹木が共有状態にある場合について紹介します。

 例えば、土地に相続が発生し土地上の竹木が共有状態になっていることがあります。

 従前、竹木の共有者が越境した枝を切除しようとしても、基本的には、共有物の変更行為にあたるため、共有者全員の同意がなければ、切除することができませんでした(民法251条1項)。

 そのため、共有者間での竹木の円滑な管理が阻害されていました。

 そこで、民法233条に新たな規定が追加され、「竹木が共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる」こととされました(民法233条2項)(令和5年4月1日施行)。

 この規定により、全員の同意がなくても、共有者のうち1名の判断で切除ができるようになりました。

 また、任意に切り取ってもらえない場合には、竹木の共有者の1人に対して切除を命ずる判決を得れば、代替執行(民事執行法171条1項、4項)も可能となりました。

 日本の空き家率は上昇し続けており、これに伴って竹木の越境問題も増加することが予想されることから、本規定の必要性はますます高まるでしょう。

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