遺言内容が不満な時はどうするか

 被相続人名義の遺言書があり(以下、被相続人の子であるAとBの2名が相続人の場合を想定します)、その遺言書の内容が、相続人Aに全てを相続させるというものになっているとき、相続人Bとしては、その遺言書の内容に不満がある場合、どのような方法を取ることが考えられるでしょうか。

①遺言無効の主張

 そもそも遺言が無効だと主張することが考えられます。具体的には遺言書の形式が整っていないとか、被相続人に遺言書を作成できるほどの判断能力がなかったというような主張をし、遺言無効の訴訟を起こすことなどが考えられます。

②相続人全員の合意

 相続人全員が合意をすれば、遺言とは別の方法で遺産分割をするということができます。したがって、相続人Bとしては、相続人Aと話し合って、違う内容の遺産分割をすることができます。

③遺留分減殺請求をする

 法定相続人のうち、兄弟姉妹を除く者には「遺留分」という権利を行使することができます。たとえ、相続人Bの相続分がゼロとの遺言があっても、法律が定める最低限の遺産取得分である「遺留分」が、その権利を行使することによって保証されるのです。

 配偶者や子には、法定相続分の2分の1について遺留分が認められています。また、父母等の直系尊属が法廷相続人の場合は3分の1になります。

 この遺留分は、令和元年7月1日に施行された改正民法によって主張できる権利の内容が変わっていますので注意が必要です。特に、不動産や動産については、令和元年7月1日より前の相続では、法定相続分に応じた共有持分を持つことになっていましたが、同日以降の相続では相続財産全体を金銭で評価して、その遺留分の割合に応じた金銭を請求する権利を有することになりました。

 以上のように、相続人Bは①から③のような対応をすることが考えられます。ただし、相続人間で話し合いがまとまらない場合には、解決までに複雑な法的問題が生じてくるため、早めに弁護士に相談をすることをお勧めします。